「未利用エネルギー」や「地中熱」
最近よく耳にしますが、詳しくは知らない方が多いのではないでしょうか?今、様々な分野でエネルギーの転換が始まっています。
「地中熱」は実はとっても身近な熱エネルギーのひとつです。
どんなエネルギーなのか?
使われ方は?
メリットは?
色々疑問はあるとは思いますが、今回は、
「地中熱ヒートポンプを使った空調システム」
について説明したいと思います。
■「地中熱システム」は「地熱」ではありません
「地中熱システム」は、温泉地などで高温の蒸気を利用する”地熱”とは違います。温泉地ではなく、通常我々が住んでいる地面の温度環境を利用したシステムです。
一番簡単な例は、夏冷たく冬温かい”地下水の温度”がいわゆる『地中熱』です。
一般的には、地下10~200mの深さの温度で、その土地の年間平均気温が目安とも言われています。
この日本だとだいたい13~17℃程度の熱を『地中熱』と呼び、
もっと深くまた高温の熱を利用している『地熱』と区別しています。
■「地中熱」はどうやって利用されてるのか?
さて、一般的なエアコンは夏に室内を涼しくしてくれますが、これは見方を変えると室内の暑い温度を集めて戸外の大気に放出していることになります。
【 温度(熱)のみ放出しています。部屋の空気を放出しているのではありません】
逆に室内が寒い冬場は、戸外の大気中の熱を集めて室内に取り込んで、温めてくれます。
(寒いのに室内を温めるだけの”熱”があるのが不思議ですね…)
「地中熱システム」は、
一般的エアコンがこのように大気を相手に熱のやり取りをしているのに対し、
地下の土や地下水を相手に熱のやり取りをするシステムです。
つまり、熱エネルギー源として大気ではなく地下の熱を利用しているのです。
この熱を集めるための機械をヒートポンプといい、
一般的エアコンも地中熱システムも同じような仕組みのものを使っています。
”ヒート=熱”を集めて汲み出してくれる”ポンプ”ということです。
■地中熱ヒートポンプを利用することのメリット
では、大気ではなく地中熱を利用することのメリットとは何でしょうか?大きくわけて3つのメリットがあります。
まず一つ目が、
消費電力を抑えられることです。
これは、熱のやり取りをする相手が真夏は大気より低く、真冬は大気より高いために得られる効果です。
・真夏にエアコンが効いてくれない
・真冬はなかなか室内が温まらず電気代ばかり高くなる、
という経験はありませんか?
夏場は室内の熱気を外に捨てたいのですが、
元々熱は高いところから低いところにのみ伝わる性質があるため、
一般的エアコンはヒートポンプを使って室内の熱気を集めて、集めて、大気よりも高い温度にしないと捨てられません。
冬場はその逆で、冷たい大気から熱を少しずつ集めて、集めて、室内を温めなければならないのです。
このようにヒートポンプで熱を集めるためには電気を消費してしまいます。
真夏や真冬にエアコンの効きが悪くなったり、電気代が高くなったりするのはこのためです。
一方、大気より温度変化が少ない地中との熱のやり取りであれば、消費電力が少なくてすみます。
真夏や真冬こそ、その効果が大きく表れます。
二つ目は、 ヒートアイランド現象の緩和です。
一般的エアコンは室内の熱気を大気に放出しますが、
地中熱システムは地中と熱のやり取りをするので、
暑い日にさらに大気を温めてしまうことはありません。
三つ目は、地熱と違って場所を選ばないということです。
厳密には各地の土壌の熱的な特性に違いがあり、熱のやり取りをし易い場所とし難い場所はあります。
しかし、例えば「温泉地でなければならない」といった制約がないので
「地産地消的エネルギー」とも言われています。
その場所の地中熱がどれ位利用できるかがわかる「地中熱ポテンシャルマップ」が
各自治体から公開され始めて現在活用が進んでいます。
■地中熱システムを使うと地中の温度は変化する?
メリットが多い地中熱システムですが、気を付けなければならないこともあります。地中の温度は年間を通して変化が少ない、というのは地中熱を利用していない時の話で、
地中熱を利用すると短期的にはその場所の地中の温度は変化します。
例えば、夏に冷房を使えば熱のやり取りをした土壌は冷房を使う前よりも一時的に高くなります。
しかし、その熱は土壌を伝わったり、地下水の流れがある場合は地下水によって、拡散されます。
また、夏は地中に熱が捨てられますが、冬は逆に地中から熱を回収することもあり、
熱が拡散するスピードの範囲内で熱をやり取りするのであれば、
長期的にみて一方的に熱くなったり、或いは冷たくなったりすることはありません。
反対に、地中熱といえども無限ではないので、使いすぎると枯渇してしまう、とも言えます。
■海外の方が地中熱は普及している
家電や自動車の省エネ技術では世界のトップを走っている日本ですが、地中熱の利用は日本よりむしろ海外の方が広まっています。
2015年のデータによると、地中熱の設備容量(kW)で比較すると
1位 アメリカ
2位 中国
3位 スウェーデン
4位 ドイツ
5位 フランス
となっていて、エネルギーの大量消費国かヨーロッパにおいて普及していることが分かります。
欧米では1980年代から既に普及が始まっていました。
一方、日本はトップ10にも入っていません。
近年日本では国や地方自治体の補助金が使えるようになったり、
認知度が高まってきたことから、さらなる普及が期待されています。
■エアコンだけじゃない地中熱
冷暖房時の省エネ手段として期待されている地中熱ですが、他の分野、例えば農業ハウスに適用することで、
・エネルギー消費の低減
・従来のボイラーにはない冷却機能を活用した付加価値のある農産物生産
と、いった活用方法も普及が期待されています。
地中熱空調システムのメリットや日本や世界での普及状況、
新たな地中熱の使われ方などについてまとめてみましたが如何でしたか?
未利用エネルギーの活用は現在、国の重要課題として様々な政策が実行されています。
その土地、その土地でどのくらいの地中熱エネルギーが利用できるのか、
どんなものに使えるのか、どのくらいの予算が必要かなど
調査、解析、設計、計画などについては私たちアグリクラスターに是非ご相談ください。
地中熱エネルギーの利用を是非考えてみては如何でしょうか?
(株)アグリクラスター公式ホームページは
↓↓↓ コチラ ↓↓↓